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【夏の甲子園2026】「勝負をかけなきゃいけない時に...」動けなかった健大高崎、動いた智辯和歌山、明暗を分けた8回裏の攻防 (3ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Masataka Tajiri

 最初のスクイズが、捕手に当たらないただのファウルだったら......。治療による中断がなかったら......。不運としか言いようのない面もあった。それでも、生方部長は自らの判断を悔やんだ。

「1−1になった時に動いたんですよね、中谷さんが。その前はこれ(打つ動作)だけだったんですけど。それで、(スクイズが)あるかなと。ただ、外して2ボール1ストライクになったら、ちょっとキツいな......と迷っていたら、スクイズだった。そこも判断ミスですね」

【常に後手になってしまった】

 一方、そのスクイズの場面について、中谷監督はこう振り返っている。

「ああいう時はキャッチャーとベンチのアイコンタクトでサインが出ることも多いので、ベンチの動きをずっと見てたんですけど、スクイズはマークされていない気がしました。やっぱり(智辯和歌山は)強打のイメージをつけてもらってるので、勝負をかけました」

 問題は、スクイズがあるかどうかではなかった。いつ来るのか。その気配を察し、警戒もしていた。それでも、健大高崎ベンチは動けなかった。

 生方部長はさらに悔やんだ。

「あの時点で(最速148キロの)石田翔に交代して、(バントのしにくい)速い球でいったほうがよかったかもしれないですよね。スクイズ警戒の場面でしたから。いろいろイメージしてやらないといけないことが......。遅かったですよね。常に後手になってしまった。そういう時は負けますよね。本当に情けない」

 中谷監督は「勝負をかけました」と言った。

 そして、奇しくも生方部長も同じ言葉を口にした。

「勝負をかけなきゃいけない時に、かけられないと甲子園では勝てない。中谷さんは敦賀気比(福井)の時に勝負をかけたし。そこですよね」

 生方部長が言う「敦賀気比の時」とは、同点で迎えたタイブレークとなった延長10回裏、無死一、二塁でリスクの高いブルドックシフト()を敷き、見事にバントを封じた場面を指している。
※一塁手と三塁手が前進し、遊撃手が三塁のベースカバー、二塁手は一塁のベースカバーに入るバントシフト

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