【夏の甲子園2026】聖隷クリストファー・高部陸の「2回加速する」規格外のストレート それでもプロではなく大学進学を選ぶ理由 (2ページ目)
【2回加速するストレート】
じつは今夏の静岡大会が終わったあと、疲労が抜けきれずに調整が遅れるハプニングがあった。佐野日大戦でも、試合後半には球速が130キロ台中盤まで落ちた。コンディションは万全とは言えない状況だった。
それでも、高部は「調子は悪くありませんでした」と振り返る。指にかかったストレートは強烈なスピンでうなりをあげ、筧のミットを突き上げた。
最速150キロの本格派左腕──。高部という投手には、そんな陳腐なラベリングは似合わない。数字では測れない魅力があるのだ。
捕手の筧から見て、高部のストレートはどのように映るのか。そう尋ねると、筧は少し言葉を探したあとに「2回加速する感じです」と答えた。
「マウンドから10メートルくらいのところから1回加速して、14〜16メートルくらいのところでまた加速する。そんな体感ですね」
筧の実感では、佐野日大戦でもそんな加速するストレートが数球はあったという。筧は呆れたようにこう言った。
「たぶん、バッターは(ボールが)見えてないです」
【大学進学を決断した理由】
今から約1年前、高部にどんな感覚でストレートを投げているのか聞くと、こんな答えが返ってきた。
「ボールを指で転がして、弾くイメージです」
あくまで「イメージ」であるが、左手で握ったボールをリリースの寸前に指先まで転がし、最後に弾く感覚だという。にわかには理解しがたい、独特の感性をうかがわせた。
今夏の甲子園でも、高部は新たな顔を見せた。走者がいない場面ではゆったりとしたワインドアップモーションで投げるが、時折右足を素早く踏み出すクイック投法で投げることもあった。立ち上がりにはクイック投法を駆使して、三振を奪うシーンも見られた。
高部はその狙いをこう語っている。
「バッターの間(ま)を崩す工夫をしていました。全国でも通用したので、よかったです。頭を使ったピッチングを高校3年間かけてやってきたつもりです」
試合後、記者に進路を問われた高部は、大学に進学する意思を表明した。
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