【夏の甲子園2025】現地取材記者5人が選ぶ大会ベストナイン前編 聖地を沸かせた珠玉の名プレーヤーたち (2ページ目)
奥村凌大については、数々の好プレーを見ていた方は納得だろう。 ことに県岐阜商戦、一、二塁間の打球に飛び出しかけた一塁の小野が、塁に戻りかけて足を滑らせたのを視野にとらえ、 瞬時に二塁に送球した判断力と視野の広さ。
高田庵冬(仙台育英)は俊足強打の三塁手で、須江航監督が「アメフトでも、いますぐトップレベルになれる」とベタ褒めする身体能力。ある部員が野球日誌で「高田が過去イチです」と記した翌日、8番ながら開星戦でホームランを放ち、本人も「完璧でした」。
ショートの松岡翼(日大三)は個人的な好み。守備がなんとも流麗で、たとえるなら伝統芸能の所作のように、無駄がなく、力が抜けているのだ。本人曰く「三木(有造監督)さんからは入学以来ずっと、『動きが大きすぎる』と言われていた」とのこと。三重県鈴鹿市出身で、父の昌志さんは社会人・ホンダ鈴鹿の元コーチ。同チームには日大三OBで、2011年夏優勝メンバーの畔上翔もおり、「畔上さんに薦められたのが進学のきっかけです」。打率は低いが、準決勝までの4試合で7犠打を決めたバント職人でもある。
外野はもう、詳しくは触れないが今大会のMVPともいえる横山温大(県岐阜商)。まったくハンデを感じさせない躍動には、ワイドショーが節操なく群がったが、県岐阜商が甲子園を味方につけたのには、間違いなく横山の存在がある。
白鳥翔哉真(東洋大姫路)は花巻東戦、「ヒットならいつでも打てます」とばかりに腰の据わったバッティングで3安打4打点。
鳴海柚萊(山梨学院)は、「信頼できない打者は打線のはじっこに置くんです」と吉田監督がいう1番を打ちながら、「責任感はあまりないけど、ときどきビッグな仕事をする」と、聖光学院戦の8回には結果的に決勝点となる適時三塁打。通算でも4割近い打率を残した。
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