オリックスドラフト1位の麦谷祐介が全力疾走に込める思い「人に夢や感動を与えられる選手を目指したい」 (3ページ目)
岩手県花巻市にキャンパスがある富士大は、冬場は雪が積もってグラウンドでの練習ができなくなる。ただし、富士大スポーツセンターという広大な室内練習施設があり、選手たちが野球に打ち込む環境が整っている。
周囲に娯楽施設などないなか、麦谷はスポーツセンターが施錠するギリギリまで粘って練習を重ねてきた。麦谷は以前、こんなことも語っている。
「遊ぶ気にもならないので、今年は野球に執着してやっていきます」
もし、富士大に進んでいなかったら、どんな22歳になっていたと思うか。そう尋ねると、麦谷は苦笑交じりにこう答えた。
「野球をやめていれば、普通に働いていたかもしれませんね。僕に声をかけてくれて、育ててくれた安田(慎太郎)監督やスタッフの方々には感謝していますし、これからも恩返ししていきたいです」
囲み取材を終えて会見場をあとにする間際、麦谷はクルリと踵を返して、鈴なりの報道陣に向かって「ありがとうございました!」と大声で礼を述べた。
華やかな世界でこそ輝く男。麦谷祐介はオリックス・バファローズに新たな魂を注入するはずだ。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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