明治大・高須大雅はカーブ復活で大躍進 「楽天の岸孝之選手みたいに...」変わらぬ理想像でブレなく成長中 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 中学時代には考えられないような成長ぶりなのではないか。そう尋ねると、高須は笑顔でこう答えた。

「中学の時は自分に自信がなくて、取材してもらえるほどのピッチャーじゃないと思っていましたから。高校、大学といい環境でやらせてもらったおかげで、今の自分がいるのかなと感じています」

 今や大学日本代表として、中学時代に雲の上の存在だった伊藤と同じ「JAPAN」のユニホームに身を包んでいる。高須は「伊藤と同じところにいるなんて、あの時は想像もできませんでした」と感慨深そうに語った。

 ただし、慢心はない。大学最高峰と言っていい明治大で、日々強烈な競争にさらされているからだ。高須は言う。

「明治は先輩も同期もみんなすごいピッチャーばかりですし、春のリーグで先発させてもらえたのも巡り合わせがよかっただけで、たまたまだと感じています。秋もこのままいけるとは思っていないので、もっと成長しないといけないと思います」

 近未来の自分について、どんな理想像を描いているのか。そう尋ねると、高須はこう答えた。

「楽天の岸孝之選手みたいに、きれいで伸びる真っすぐを投げられればいいなと考えています。これからどこまで成長できるのかイメージはついていないんですけど、ドラフト1位でプロに入るのが今の目標です」

 6年の歳月が経っても、高須の根源的な部分は変わっていなかった。だからこそ、肉体や感覚の変化が訪れても、高須は軸がブレることなく成長し続けたのだろう。

 2025年のドラフト会議まで、あと1年あまり。高須大雅はどこまで大きな存在になっていくのだろうか。楽しみは膨らむばかりだ。

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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