茨城トヨペット営業マンがエイジェック補強選手で都市対抗出場 シンデレラ左腕・中島悠貴の野望「相手に絶望感を与えるピッチャーになりたい」 (3ページ目)
エイジェックには7月に落成したエイジェックスポーツ科学総合センターという施設がある。中島は同施設を訪れ、衝撃を覚えたという。
「冷房の効いた室内で打ったり、投げたりの技術練習はできるし、トレーニング器具も充実しているし、治療院まで完備されている。できない練習はないというくらいの設備です。トヨペットでは練習日に雨が降ると投げられない時もあるので、ありがたいですね」
チームには同じく補強選手であるベテラン内野手の野中祐也(日立製作所)と伸び盛りの強打者・樫村昌樹(日本製鉄鹿島)もいる。エイジェックを合わせて3チームについて知ることができるのだ。
「3チーム分のよさを知るチャンスだと感じています。エイジェックは選手数が多いですけど、いい形で競争につながっていると感じます。ただ投手陣から学ぶだけでなくて、野手の声がけとかチームとしてどうやって強くなっているのか、吸収していきたいです」
もちろん、エイジェックのユニホームを着る以上は都市対抗本戦でチームのために力を尽くすつもりだ。
「流れを変えられるピッチングをしたいですね。今年はずっとそんな思いで投げてきましたから。相手に絶望感を与えるピッチャーになりたいです」
大舞台での投球は自身の価値を、さらに高める可能性を秘めている。中島は「なんとかプロに行きたい」と語る。
「トヨペットの会長、社長も『行けるチャンスがあるなら行ってこい!』と応援してくれています。野球をやっている以上、目指していきたいです」
エイジェックの都市対抗初戦は7月24日、日本製鉄瀬戸内(姫路市)戦である。稀代の左腕はベールを脱ぐのか、最後まで目が離せない。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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