東大野球部主将→司法試験合格の辻居新平 弁護士、東大...超優秀4兄弟の教育方針は「両親が勉強に関与してこなかった」

  • 門脇 正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

文武両道の裏側 第17回
辻居新平(東京大学野球部・元主将)インタビュー前編(全2回)

2019年に東京大学野球部主将を務め、自身は外野手として「東大初の野手でプロ指名」も期待された辻居新平(26歳/東大法科大学院)が、司法試験に合格した。まさに文武両道を歩んできた辻居にその極意を聞くべく、東大を訪ねてインタビュー。前編では、野球や弁護士という仕事との出会いから、東大合格までの道のりを聞いた。

東京・文京区の「東大球場」でインタビューに応じる辻居新平さん東京・文京区の「東大球場」でインタビューに応じる辻居新平さんこの記事に関連する写真を見る

【超優秀な4兄弟を育てた教育方針とは?】

ーー司法試験合格おめでとうございます。合格を知った時の気持ちはいかがでしたか?

辻居新平(以下同) ありがとうございます。合格した時は、喜びはもちろんあるんですけど、どちらかというと安堵のほうが大きかったようには思います。ロースクールに通いながらも、野球部時代の同期と飲みに行ったりして、いつも、「いつ受かるんだ?」って言われていました。司法試験に合格して、「お前も社会人だな! なんかあった時は(弁護士として)よろしく頼む!」なんて言われたりもしましたし、「おめでとう」の言葉をたくさんもらいました。

ーー司法試験の勉強中は、野球からは離れていたんですか?

 勉強に集中していて、どうしても野球から遠ざかってしまいましたが、体を動かすことは続けています。そんなにハードな運動はやっていませんでしたが、朝、散歩をしたり、筋トレも週1回はやったり。そうするといいリフレッシュになりますし、精神的な健康も保てて、勉強にも身が入ります。

 野球はしてはいなかったですけど、大谷翔平選手などが活躍していたWBCの試合は東京ドームでしっかり観戦しましたし、六大学野球の他大の同期もプロで頑張っているので出場している試合をチェックしたり、東大の後輩たちの六大学の最終戦は、顔を出しました。野球をするのと同じぐらい、野球を見るのも好きです。

ーー辻居さんは4人兄弟の末っ子で、10歳年上の長男は弁護士、8歳年上の次男と5歳年上の三男はともに東大卒とのことで、兄弟そろって優秀です。辻居家ならではの教育方針があるんですか?

 うちの教育方針としては、父も母も勉強についてあまり関与してこない、話してこないところかもしれません。むしろ、テストの成績がちょっと悪かったら、「運動してリフレッシュしなさい」とか、それくらいの感じで背中を押してくれました。

 基本、学校の弁当とか部活の相談とか、そういう子どもたちの面倒は母がみてくれて、父は弁護士という仕事柄もあるとは思いますが、どちらかというと自分から話すタイプではなくて、厳しくもないですし、かと言って甘いわけでもないし、見守ってくれているという感じでした。

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著者プロフィール

  • 門脇正法

    門脇正法 (かどわき・まさのり)

    マンガ原作者、スポーツライター。1967年、埼玉県生まれ。日本女子体育大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了。アニメ『ドラゴンボールZ』の脚本家である小山高生氏からシナリオを学び、マンガ原作者デビュー。特にスポーツアスリートの実録マンガを得意としており、『世界再戦ー松坂大輔物語ー』(集英社/少年ジャンプ)、『好敵手ー室伏広治物語ー』(同)、『闘球「元」日本代表ー福岡堅樹物語ー』(集英社/ヤングジャンプ)の原作を担当。現在はマンガの原作だけでなく、「少年ジャンプ」のスポーツ記事特集『ジャンスタ』を中心に、『webスポルティーバ』の「文武両道の裏側」など、スポーツライターとしても活躍中。著書に『バクマン。勝利学』『少年ジャンプ勝利学』(ともに集英社インターナショナル)などがある。

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