超絶守備の近江・土田龍空。甲子園に残した「忘れ物」はプロの舞台で取り戻す (5ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 また、今までは打球を捕る直前から一塁方向に体が流れ、捕球ミスにつながっていたことも指摘された。

「打球を自分の顔の前で処理する感覚を身につけるために、捕ったら右足を一歩前に出すようにしました。右足を出すと体が一塁方向に流れずに、処理できるようになるんです」

 そう言うと、土田はオンライン取材中に動画を2本見せてくれた。映像には、大野コーチの指導を受ける前後の土田のゴロ捕球動作が収められていた。

 なるほど......と納得する間もなく、体が流れる・流れないうんぬんの前に、土田の「握り替え」のスピードに面食らっていた。打球が左手のグラブに収まってから、右手に持ち替えるまでの速さが尋常ではなく、また美しかったのだ。

 握り替えについて聞くと、土田は「ボールを捕るところを3つ作っています」とサラリと答えた。プロ野球の一流内野手はポケット(グラブの捕球面)を2つ作ると聞いたことがあるが、土田はその上をいくのだろうか。

「基本的に使っているのは2つのポケットで、親指と人差し指の間のごく普通のポケットと、薬指と小指の間くらいのポケットです。1つ目のポケットはフライを捕るとき用で、2つ目はゴロを捕るとき用。ゴロのときは『捕る』というより、『下から弾く』感覚かもしれません。あとキャッチボールやゲッツーの送球を受けるときに、1つ目のポケットよりちょっと手前、親指のちょい上に当てて捕ることもあります」

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