2018.05.10

熱気と哀愁の「村田修一フィーバー」に
栃木の選手、ファンが思うこと

  • 阿佐智●文・写真 text&photo by Asa Satoshi

 試合開始4時間前というのに、球場前にはすでに行列ができていた。試合開始1時間半前の開門時になると、その列はさらに長く伸びていた。ところは栃木市民球場。休日であることを考えても独立リーグでは異例の光景といっていい。

 今シーズン、村田修一がルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスに入団した。一昨年、NPBの巨人で3割をマークし、ベストナイン、ゴールデングラブ賞に輝きながらも、昨年はケーシー・マギーの加入により開幕はベンチスタート。それでもシーズン途中からは三塁手のレギュラーとして活躍し、15年連続となる2ケタ本塁打(14本)を記録した。

 だがチームは3年連続優勝を逃すどころか、11年ぶりのBクラス転落。若返りを図るべく、2000本安打を目前にした大ベテランの村田を放出したのだった。

昨年巨人を退団になり、今季からBCリーグの栃木でプレーする村田修一

 巨人を退団した当初は、多くの人が「そのうち(移籍先が)決まるだろう」と思っていたに違いない。実際、入団に向け村田を調査していたNPB球団もあったと聞く。だが、年が明け、キャンプが始まっても村田に声をかける球団は出てこなかった。

 それでも村田は現役続行を決意し、それまで気にも留めたことがなかった独立リーグにプレーの場を求めた。

「今までも地方球場で試合をしたことありますんで……」と、独立リーグの厳しい環境も気にしないと平静を装っているが、悔しくないわけがない。ただその思いを胸に封じ込めていられるのは、”NPB復帰”という大きな目標があるからだ。

 その村田を受け入れた栃木ゴールデンブレーブスは、想像もしなかった大スターの入団に大きな期待を寄せる。なにしろNPBで2度の本塁打王を獲得するなど、セ・リーグ屈指の強打者が、オラが町のチームに来てくれたのだ。

 開幕から1カ月近くが経ったが、「観客動員は昨年とまったく違う」と地元記者は驚きを隠さない。

 村田も、行き先のなかった自分を引き受けてくれた球団に恩義を感じているようで、時間の許す限りファンにサインする姿があった。