谷繁元信が中村奨成に贈る、「高卒ドラ1捕手」がプロで生き抜く方法 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 内ヶ崎誠之助●写真 photo by Uchigasaki Seinosuke

 谷繁氏は、プロの体力を身につけるには、とにかく練習しかないと強調した。

「正直、今のプロ野球の練習はちょっと甘いと感じています。僕がまだレギュラーを獲る前は、足がパンパンに張るぐらい練習してから試合に出ていましたから。苦しい練習を乗り越えたときに、体もメンタルも強くなり、ここぞという場面で力が出せるんですよ。うさぎ跳びがダメとか言いますけど、昔は普通にやっていましたし、僕はそれをやってヒザを壊したことは一度もありません。もちろん、うさぎ跳びがいいわけではありませんが、苦しい練習も今の練習とうまくミックスして、ちゃんとケアさえすれば大丈夫だと思います」

 中村は高卒でプロの世界に入ることになるのだが、この選択は"吉"と出るのかどうか。2000年以降のドラフト(育成は除く)を調べてみると、高卒捕手の指名は66人で、大学・社会人は67人と、ほぼ同数である。だが、近年のプロ野球を見れば、"正捕手"として試合に出場しているのは大学・社会人出身の捕手の方が多い傾向にある。

「チームは捕手を最低6〜7人は必要なわけで、高校から入ったキャッチャーの芽が出ない場合、どうしても大学・社会人を即戦力として獲りにいきます。でも、広島では會澤翼、ヤクルトは中村悠平、ロッテは田村龍弘がいて、ソフトバンクには甲斐拓也がいる。甲斐なんて育成出身ですけど、体力がついて自信のあるプレーをしています。やはり伸びしろでいうと、高卒の方が大きいですよね」

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