なぜ大阪桐蔭は強いのか。指揮官が語った「春の山と夏の山」 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 ましてセンバツのチームは、レギュラーの約半数が新2年生の若いチーム。「もっと上を目指したい」「まだまだ成長したい」と思う気持ちは、より強いように感じる。

「たとえば、藤原(恭大)や根尾(昂)は素材的にいいものを持っています。ただ、相手にマークされたときにはね返せる力が、まだセンバツの時点ではありませんでした。だから、彼らがなかなか結果を出せなかった姿は、ある意味、思った通りでした。最後に藤原がホームランを打ったり、根尾が投手として締めたり、いい感じで終われたと思いますが、大会を通じて、下級生たちは『まだまだ力が足りない』と感じたはずです。その思いを、夏の成長にどこまでつなげてくれるかですね」

 その一方で、エースの徳山壮磨や主将の福井章吾ら、3年生の活躍が目立った。

「上級生にすれば下級生の存在が刺激になり、普段から負けられないという思いは当然持っているはずです。ただ、私自身は下級生中心のチームとは思っていません。春季大会前に3年生と2年生の紅白戦をやったのですが、3年生の圧勝。素材的に見て、5年後、10年後、野球界に残っているのは今の下級生の方が多いかもしれませんが、高校時代の1年の差は大きい。根尾と3年の泉口(友汰)のショートの守りを比べたら、現状では明らかに泉口が上。そこはやっぱり3年生なんです」

 春季大会では、野手陣に故障者が出た影響で競争の激しさはいっそう増した印象が残った。厳しいポジション争いを経て、夏には2012年以来となる春夏連覇の期待がかかる。

「ただ僕らは、連覇というより、毎年、日本一を獲りにいく姿勢でやっています。藤浪や森がいたから狙うというのではなく、常に日本一を狙う。そういう学校でありたいと思ってやってきました」

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