東大野球部、悲願の勝ち点1はこの春に実現するのか? (5ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Tomohiro Motonaga
  • photo by Jiji photo

 宮台が早大戦、明大戦で好投したことで、他大学は警戒を強めている。立大の溝口智成監督は「冬場に走り込んだと聞いていましたが、確かにいいピッチャーです。手ごわい相手であることは認めざるをえません」と語っている。これまで以上に研究され、マークがきつくなることは間違いない。過去3試合の投球データをもとに、各大学は宮台対策をしっかり練ってくるはずだ。

「そんなプレーで、勝ち点を取れると思っているのか!」

 明大戦を落としたあと、東大球場の練習ではそんな声が飛んでいた。東大の攻撃力は、トップバッターの桐生祥汰、4番・楠田創、5番・田口耕蔵が打率3割をマークしているが、大量リードを奪える打線ではない。少ない点数を守り抜いて勝つ――「1点も取らせない練習」だ。

 東大が勝ち点を奪うためには、宮台の1勝だけでは足りない。明大戦のように宮台抜きで勝てればいいが、現実的には難しい。初戦に勝ったあとの第2戦のリリーフか、第3戦にもう一度先発して投げきる以外に方法はない。ハードな戦いが待っているが、それを乗り越えて初めて、六大学のエースになることができる。

 慶応も立教も法政も簡単に勝てる相手ではない。しかし、明大戦のような戦いができれば勝機は見つかるはずだ。目指すのは1勝ではなく、勝ち点。もし2002年秋以来となる勝ち点を奪えば、1997年秋以来の最下位脱出が見えてくる。


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