【女子野球】4連覇の日本が直面する国際化という課題 (3ページ目)

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • 全日本女子野球連盟●写真 photo by Women’s Baseball Federation of Japan

 このオーストラリアの負けっぷりには、関係者も驚いたようだ。

「我々も、上位4チームはそれなりのレベルだと認識していましたし、現にこれまで戦ってそうだったわけですが、今年はオーストラリアがあまりにひどくて、みんなびっくりしています」(長谷川会長)

 投手陣のレベルが落ちたのか、それともたまたまだったのか。本当の理由は分からないが、とにかく女子野球にとってはマイナス要素となってしまった。

 日本女子プロ野球リーグが誕生して、今年で5年目。目指すべき場所ができたことで、女子硬式野球人口は確実に増えた。リーグ発足当初は全国に5校しかなかった女子硬式野球部を持つ高校は、いまや18校。来春にはまた3校増える予定だという。底辺拡大は顕著だ。

 当然、それにともなってレベルも上がっている。日本のレベルが上がり、他国が停滞、もしくは下降していれば、力の差は広がる一方。それでは、今後のW杯に盛り上がりは望めない。日本の女子野球界に求められるのは、国内だけでなく、国際的な発展を先導することではないだろうか。

「おっしゃる通りです。ただ、指導者を派遣するにしても、グラブやバットなど用具が不足している国に提供するにしても、資金が必要。だからこそ、今大会で認知度を上げて、『女子野球、なかなか大したものじゃないか、面白いじゃないか』という企業が出てきてくださり、安定的にご支援いただけるような状況になればと願っているのです」(長谷川会長)

 昨年、女子野球日本代表も『侍ジャパン』の一員となった。男子プロで編成されるトップチームをはじめ、全世代の代表と同じユニフォームを着て戦えることは、女子選手にとって大きな励みだろう。しかし、そのことで財政的に潤うわけではない。もともと女子代表もNPB(日本野球機構)から支援を受けており、侍ジャパンプロジェクトに参加したからといって、それが増額されるわけではない。

 理想はミズノ、JTBといった侍ジャパンの公式スポンサーとは別に、全日本女子野球連盟そのものと契約してくれるスポンサーが増えること。そうすれば、国内のみならず、海外への支援もできる。今大会を通じてメディアへの露出が増えたことは間違いないが、果たして、そういう企業が現れてくれるかどうか。

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