J2ウォッチャー平畠啓史が推す2023シーズンの注目選手。「ものすごい活躍をしそう」「サッカーの楽しさが伝わってくる」「清水のモドリッチ」ら7人 (3ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

【もっともっと見たい選手】

成岡輝瑠(MF/清水エスパルス)

 この選手は本当にやばいですよ。体はあんまり大きくないけど、使ってもらえたらガンガンいける選手なんですよ。本当"フットボーラー"っていうタイプなんですよね。体で相手を制圧するとかではなくて、ボールを扱ってゲームを動かしていくことができる選手。そんな選手なかなかいないじゃないですか、すごい才能ですよ。

 AからBにパスを出すのは誰でもできるけど、そのパスがその後の状況をガラッと変えてしまうっていうのは、全体が見えている選手じゃないとできない。相手を崩すためにここにパスを出したら、相手の陣形がこう変わるっていうのが見えている選手だと思います。だから成岡選手のプレーはもっと見たい。

 中盤の選手ですが、点を取りに行くと決めたら自身で決めに行っちゃう選手です。また、本当に相手を止めなきゃいけない時は、小さくても体を張って相手を止めに行ける。ゲームのなかでその場面ごとに必要なことができる選手。ボールにも多く関わって、ゲームを変えていけるので、本当にもっともっと成岡選手のプレーが見たいんです。

 SC相模原ファンも、山口のファンも、いやJ2のファンはみんな成岡選手がどれだけうまいかは知っていますよね。エスパルスに戻ってきたのでエスパルスのユニホームを着て活躍しているところを見たいですよね。

 エスパルスとしても自分たちの逸材をしっかり育てるという意味で、しっかり活躍するところを見せてもらいたいですね。ちょっとプレーがルカ・モドリッチっぽい。「清水のモドリッチ」って呼んじゃってもいいんじゃないですかね。

佐野航大(MF/ファジアーノ岡山)

 昨年面白いなと思ったのが佐野選手です。

 昨年は高卒1年目でしたが、本当に技術が高い。立ち振舞いやプレーぶりも、高卒1年目の感じがまるでしなかった。昨年はワイドのポジションをやっていましたが、もっと自由にやれるポジションでも面白そうです。いわゆる10番っぽいプレーを任せてもいいんじゃないかと。小野伸二選手じゃないですが、見ていてサッカーの楽しさが伝わってくる選手。あんな選手になりたいって思わせてくれる。

 今年はU-20ワールドカップの最終予選でチームを離れる時期もありそうですが、そこでの経験からまた急成長を遂げるみたいなことがあるかもしれません。そうした経験は岡山というクラブにも還元される気がします。

 岡山は昨年3位でしたが、優勝争いや昇格争いのなかで佐野選手がプレーできていることも非常に大きいと思います。本当に負けられない試合や絶対勝たないといけない試合のなかで、いいパフォーマンスを出すってすごく大事なので、それができていた佐野選手はただうまいだけじゃなくて、勝つための技術がどんどん増えていっているように感じます。

 どのポジションでプレーしてもちゃんと自分のなかで消化して、かつ自分の色も消さないで特徴を出してプレーできる。若いのにすばらしいなと思いました。

平畠啓史 
ひらはた・けいじ/1968年8月14日生まれ。大阪府出身。芸能界随一のサッカー通として知られ、サッカー愛溢れる語り口が人気で、多くのサッカー関連番組に出演中。『平畠啓史Jリーグ56クラブ巡礼2020 日本全国56人に会ってきた』(ヨシモトブックス)など、サッカー関連の著書も多い。

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