【新車のツボ48】ボルボV60 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 スバルではいまや新車販売の大半が"アイサイト"付きなのだという。アイサイトといえば、追突直前で急停止する自動ブレーキでおなじみのアレ。先日もいまだに自分でクルマを運転するウチの叔母(もう60代半ばのおばあちゃんだけど)が「今度はぶつからないクルマじゃないとねえ」と言っていたが、いまやこの種の技術はクルマになくてはならない必要条件になりつつあるのかも。

 そういう"ぶつからない"以外にも、前のクルマに自在に追従(しながら渋滞時は停止まで)するクルーズコントロールや車線逸脱警告なども備わるアイサイトは、つまりは最先端の"自動運転"技術のひとつだ。テレビCM効果もあって日本ではアイサイトが圧倒的に認知度が高い。しかし、現時点でもっとも高度な"ぶつからない"あるいは"自動運転"を提供するのは、じつはボルボである。

 スバルのアイサイトが2つのカメラで周囲の状況を把握するのに対して、ボルボのカメラはひとつだが、そこに短距離用の赤外線レーダーと中長距離のミリ波レーダーを加えた3つの目......いや、ミリ波レーダーには中距離用と長距離用の2つが内蔵されるから、厳密にいえばボルボは合計4つの目で、絶えず周囲を監視ながら走る。技術的にはそれぞれ一長一短はあるが、より天候に左右されにくく、いろんなものを細かく"観る"ことができるのはボルボのほうだろう。

 実際にボルボの機能はアイサイト以上。ボルボにはスバル同様のクルマへの追突防止機能のほか、カメラ画像から周囲で動き回る歩行者や障害物を抽出して、それらに対しても自動ブレーキをかける。

 そういうボルボは"自動運転"もすごい。今回の取材では千葉の木更津から館山自動車道に乗り、アクアラインを経由して首都高に入り、そしてあえて箱崎ジャンクションを通って渋谷......というルートを、ボルボの自動運転機能=アダプティブ・クルーズコントロール(ACC)を使って走ってみた。首都圏で日常的にクルマ運転をする人ならわかるはずだが、そこは速度不安定、渋滞、割り込み......とACCには世界屈指の過酷な条件だ。

 ワタシはそれに「アクセルもブレーキもギリギリまで使わないぞ!」と決意して臨んだ(注:良い子はマネしないでね)のだが、ボルボV60は笑っちゃうほど、あっけなく完走してしまった。渋谷出口を降りるまで、本当に1度もアクセルもブレーキも操作しないで済んだのだ。

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