【新車のツボ29】三菱RVR 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 使いやすくて機能も十二分、しかも価格以上の満足が得られて、どことなく"イイモノ感"までも漂う......。クルマにかぎらず、いい買い物ができた幸福のツボは、そういうモノに出会えたときに刺激される。三菱RVRはまさしくそんなクルマといっていい。

 見てのとおり、背高ボディに大きめのタイヤを履かせたRVRは、最近流行の"SUV風クロスオーバー"の一種だ。すなわち、オフロード車の匂いをそこはかとなく醸し出しつつも、その実体は普段乗りやオンロードを優先した便利な乗用車である。

 そのイデタチや178.5~246万円の価格を考えると、RVRは日産ジューク(やトヨタ・イスト)あたりに近い感じがする。ただ、実際にはRVRのボディサイズのほうがちょっと大きく、1.8Lのみとなるエンジンも1.5Lが主力のジュークよりちょっと贅沢。

 つまり、RVRは車格的にジュークより1ランク上......とまではいわないまでも、0.5ランクくらい格上なのに、値段はガチンコ。RVRの実物を目の前にすると「これが200万円以下で買える」とは、素直に得した気分になれるのも事実である。

 そんでもって、RVRは運転席に座ってインテリアを見渡しても、また走り出しても、格上感が濃厚である。

 RVRは価格だけで見ると、Rホンダ・フィット級のコンパクトカーベースのSUVと錯覚しそうだが、全長4.3m弱、全幅1.77m、ホイールベース2.67mだから、厳密にはひとクラス上。つまりVWゴルフやトヨタ・オーリス級のCセグメントサイズである。そこに全高1.6mオーバーのクロスオーバーボディなもんだから、室内は誇張なしに広くて、高い位置に健康的な姿勢で座るので見晴らしもいい。インテリアの仕立てもCセグメントの国際水準をターゲットにしているらしく、コンパクトカーベースのジュークやイストより明らかに高級感がある。やるなあ三菱。

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