日本競輪選手養成所が候補生募集 新所長の神山雄一郎が語る競輪の奥深さと向いている人の資質とは (3ページ目)
競輪に向いている人とは
――養成所の入試では、自転車競技経験のある人におすすめの「技能試験」と、自転車競技未経験者におすすめの「適性試験」があります。野球やサッカー、バレーボールなどさまざまな競技経験者が実際に入所して競輪選手として活躍していますが、どんな人が競輪選手に向いていると思いますか。
どんな競技をやってきたかではなくて、心が強くて、どんなに打ちのめされても立ち上がれる選手です。競輪選手をやっていると、絶対に打ちのめされるんですよ。私は50歳過ぎまで選手としてやっていましたが、21~22歳の選手たちにも負けることがあります。そうすると打ちのめされるんです。そんなシーンが競輪では多々あるんですが、それでも何としてでも立ち上がる、気持ちの強い人、そして継続的に練習を続けられる人、そういう人が向いていると思います。そんな人には、ぜひ競輪界に入ってほしいですね。
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――入試は一次と二次に分かれていて、競技力や身体能力の試験はもちろん、二次試験には口頭試問があります。神山所長はその際にどんなことを聞いてみたいですか。
競輪選手になろうと思った動機はもちろんですが、私個人としては、親にしっかりと感謝できているかどうかは気になりますね。競輪選手になったばかりのころは、みんな自分のためにがんばれるんです。でも壁にぶつかったり、打ちのめされたりするうちに、モチベーションが低下してしまうことがあります。
そんなときには、結婚をして子どもがいれば、子どものためにがんばろうとか、お客様のためにがんばろうとか、新たなモチベーションが必要です。そんな気持ちになれるかなれないかは、人への感謝の気持ちがあるかどうか。それがあればモチベーションにつながるんです。
たとえば、自分の車券を買ってくれているお客様が必ずいます。それを見ると、「こんな自分でも車券を買って応援してくれている人がいるんだ」と感謝の気持ちが生まれ、「自分に期待してくれているのであれば、その期待に応えよう」とモチベーションにつながっていきます。だから私は感謝の気持ちはとても大事だと思っています。
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