双眼鏡から見えたラグビーW杯日本金星の真実
「南アはおびえていた」
ニコン双眼鏡で見るプロの視点(第1回) ラグビー 松瀬学氏
(松瀬学プロフィール)
まつせ・まなぶ 1960年生まれ。長崎県出身。ノンフィクション作家、日本体育大学准教授。学生時代は早稲田大学ラグビー部に所属し、卒業後、共同通信社の運動部記者としてさまざまなスポーツを担当。夏季五輪のほか、サッカーやラグビーワールドカップなどを現場取材してきた。
9月20日(金)からいよいよラグビーワールドカップが開幕する。その試合をつぶさに観察し、原稿として世に発信するのが、ジャーナリストの松瀬学氏だ。「ラグビーはスタジアムでこそ本当の面白みを体感できる」と語る松瀬氏は、過去すべてのワールドカップを現場で取材してきた。
そんな松瀬氏が大切にしているのが、スタジアムでしかわからない細部を、いかに読者に届け、そこに隠されているドラマを伝え切るかということだ。そのためには、ニコンの双眼鏡が欠かせないという。どこをどのような視点で見ているのか、また細部を見ることによって何がわかるのか、松瀬氏にラグビーの魅力とともに聞いてみた。
――松瀬さんはこれまですべてのラグビーワールドカップを取材していますが、 ほかの大会と何が違うのでしょうか?
「ワールドカップはすべての面において違います。わかりやすく言うと、大相撲の地方巡業と本場所、ボクシングのスパーリングとタイトルマッチ、そのくらいのレベル差があります。ワールドカップでは、必ずその国・地域がベストメンバーを編成して、プライド、威信をかけて戦います。選手としては自分の価値を高めることにもつながりますので、その後のラグビー人生が変わってくるんですね。だから球際の激しさが、ワールドカップとそれ以外の試合では格段に違います。
それが一番わかりやすいのは、倒れたときの立ち上がるスピード。強いチームになればなるほど、立ち上がるのが速い。またピンチのときの戻るスピード。これも速い。すべてのプレーが120パーセントの力で行なわれている。そんなすごいワールドカップが、日本で開催されるんです。周りの人たちには、ぜひ現場で見てほしいと言い続けてきました」
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