200m個人メドレー優勝。瀬戸大也が効果を実感した「本当に嫌な練習」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 二宮渉●写真 photo by Ninomiya Wataru

 そして背泳ぎでトップに立つと、平泳ぎは「ターンからの浮き上がりでミスをして少し焦りましたが、一回気持ちを落ち着かせて25mからもう一回アップさせた」と、トップを守った。最後は自由形で粘り、デプランシュとカリシュを抑えて勝利を収めた。

 この最後の粘りは、ここ4カ月弱、もう一枚殻を破るためにと取り組んできた「耐乳酸トレーニング」の成果が表れたと言える。文字どおり、乳酸に耐える力をつけるために疲れた状態から、さらに追い込んでいくトレーニングだ。

 それに加えて梅原コーチはもうひとつの勝因をこう話す。

「去年からケガもなく1年通していい練習ができた結果。その中でスピードが上がって100m種目では、自己ベストが出ていることが200mに生きてきた。3種目の中では一番成績が出てないのが200m個人メドレーだったので、外すとなればバタフライとスケジュールが重なるこの種目という考え方もあったが、瀬戸自身が『個人メドレーはキングオブスイマーだからやっぱり出たい』と言うのでやらせていた。今は止めさせないでよかったと思う」

 ただし、世界のトップ選手のタイムは、萩野公介(ブリヂストン)の1分55秒07秒を筆頭に1分55秒台に入っている。今回の瀬戸は勝負強さを見せたものの、記録的にはもう一歩であり、それは彼自身も「今回は本当にラッキーだった」と承知している。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る