松田丈志が解説。大橋悠依が自己記録を2秒も縮めたストロークの反復 (2ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi 新華社/アフロ●写真

 しかし、なぜ初出場の大橋がこの大舞台で自己ベストを大幅に更新し、銀メダルまでたどり着けたのか。これはトレーニングが順調に積めていることを大前提として、決勝で「自分の泳ぎ」に集中できたことが大きい。自分の泳ぎとは、「自分の動作」と言ってもいい。

 レース前に大橋が平井伯昌コーチからもらったアドバイスはふたつあったそうだ。ひとつが種目ごとの泳ぎのフォームに関する注意点。もうひとつは「自分を信じて思いっきり泳いでこい」というものだった。フォームの注意点は、具体的に言えば、呼吸の時の頭の位置やキックの足幅など細かい動作の部分だったという。

 例えば「何秒で泳ぐ」というタイムの目標や、メダルを獲りたいという目標も大事だが、それらは「結果」だ。自分の中で念じるだけでは、それは近づいてきてはくれない。競泳の場合、ひとつひとつのストローク、動作の積み重ねが「結果」となる。その動作に集中することで、目指すタイムや順位に近づいていくのだ。「結果」だけを考えてしまうと、時にプレッシャーになり、焦りにもなる。

 初めて世界の大舞台に立った大橋は見事に平井コーチのアドバイス通り、自分の動作に集中し、これまで培ってきたストローク、動作を繰り返した。その結果、メダルにたどり着いた。

 最終日に本命の400m個人メドレーを控える大橋。200m個人メドレー同様、地元ホッスーへの大歓声が予想される。

 インタビューの最後に次の種目での目標を聞いてみた。

「いい色のメダルを獲りたいです」

 また、自分の泳ぎに集中して欲しい。

◆「キャプテン」松田丈志の目線 記事一覧>>

■水泳 記事一覧>>

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る