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【箱根駅伝2025】駒澤大が上尾ハーフで証明した中間層の底力 谷中晴は力を証明し、帰山侑大は信頼を取り戻す

  • 杉園昌之●取材・文 text by Sugizono Masayuki

上尾ハーフ表彰後の駒大の面々。左から7位・吉本、2位・帰山、3位・村上、4位・谷中 photo by Sugizono Masayuki上尾ハーフ表彰後の駒大の面々。左から7位・吉本、2位・帰山、3位・村上、4位・谷中 photo by Sugizono Masayuki

11月17日に開催された上尾シティハーフマラソンは例年どおり、箱根駅伝出場校の選手たちが数多く出走するなか、大学生男子の部は入賞者8人の半数を駒澤勢が占めた。優勝こそ大東文化大の棟方一楽(2年)に譲ったものの、上位の2位から4位までを独占。駒澤大の藤田敦史監督は気を引き締めながらも顔を綻ばせた。2年ぶりの箱根制覇に向け、指揮官が得た手応えとは――。

【全日本に続き力を証明したルーキー・谷中】

 出雲駅伝、全日本大学駅伝はいずれも國學院大に次ぐ2位。箱根駅伝の優勝8回を含め、学生三大駅伝で歴代最多の通算29勝を挙げる駒澤大にとっては、納得できる結果ではない。駅伝の熱気に包まれた伊勢から戻り、まだ2週間足らずである。藤田監督は、練習から主力メンバーたちにハッパをかけていた。

「全日本を走ったメンバー(8人)が、そのまま箱根を走るわけではない。上尾でもう1回、メンバー選考するよ」

 伊勢路でともに区間賞を獲得したエースの篠原倖太朗(4年)と山川拓馬(3年)らは出走しなかったものの、「かなりプレッシャーをかけた」という4人の"全日本組"が上尾シティハーフマラソンに出場。

 全日本4区で区間3位と好走したルーキーの谷中晴も例外ではない。初ハーフとなる1年生は「箱根の選考が懸かっている」と気合を入れてスタートラインに立っていた。藤田監督に課されたタイム設定は1時間2分台の前半。序盤からハイペースの先頭集団に食らいついた。5km地点で14分半を切り、10km通過も29分一ケタ台で通過。15km以降は差し込みがきつくなり、上位陣のペースアップに対応できなかったが、最後は意地のラストスパートを見せる。3位の背中にぎりぎりまで迫る4位でフィニッシュ。タイムも目標どおりの1時間02分05秒をマークし、指揮官は目を丸くしていた。

「(1時間)2分一ケタ台で走ったのは立派。スタミナは課題として残りますが、いいものを持っている。すごい選手になると思っています」

 ただ、谷中本人は反省しきりだった。全日本大学駅伝で足裏に血豆をつくり、思うように距離走を積めなかったことを悔いた。

「タイムは悪くないのですが、レース内容はよくない。僕の場合、練習をしっかり積めないのが一番の課題。それが顕著に出たと思います。出雲駅伝前の合宿でも軽いケガをしてしまったので(レースは欠場)。箱根前の合宿では距離走をすべてこなし、本番に合わせいきたいです。ハーフの距離はごまかしがききませんから」

 希望区間は自身の適性に合った3区、4区。小まめなアップダウンを得意としており、「往路を走るんだぞ、という気持ちでアピールしたい」と意欲を燃やす。箱根までの1カ月、スタミナの向上に力を注いでいくという。

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