大学駅伝シーズンに向け強さを見せた中央大エース・溜池一太「学生記録を破るだけでは満足できない」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

【メンバー選考の競争激化】

 続く5000mC組では本間楓(2年)と吉中祐太(3年)がワンツーでフィニッシュした。本間は13分44秒96で自己ベスト更新には至らなかったが、蒸し暑いコンディションのなかで勝負に徹し、トップを獲った。

 汗だくの表情からは、笑みがこぼれる。
 
「千歳大会に至るまで溜池さんや岡田開成(1年)たちと非常にいい練習が積めていたので、自信を持ってスタートラインに立つことができました。13分40秒のペースではゆとりを持てるスピードで練習していたのですが、最初前に出た時、ちょっとキツさを感じたのでうしろの選手に『引っ張ってください』と合図をしたら前に出てくださったので、非常に助かりました。タイムより勝ちきることをメインに考え、それができたのでよかったです」

 本間はこのレースに向けてしっかりと調整ができていた。6月29日の男鹿駅伝の前に菅平で1週間合宿を行ない、駅伝では1区14.9キロを駆けた。その後、溜池らと一緒に練習メニューをこなすことが自信につながった。ホクレン千歳大会の5000mの翌日、士別ハーフマラソンにも出場した。

「箱根駅伝予選会の後、2週間で全日本なので、そこは2本とも外せない展開で、連戦でも自分の力を発揮できるようにと思ってレースを組んでいます。自分はいい意味でも悪い意味でも、連戦では自分の力を出しきれず、2戦目のほうが走れるので、そこが強みでもあり、課題だと思っています」

 本間が調子を維持しているなか、予選会や全日本を走るメンバー選考の競争も激しくなっていく。出走のポジションを得るためには何が必要だと考えているのだろうか。

「第一は、ロードの適性をしっかり見せていくことだと思います。今年、自分はトラックでは走れているのですが、関東インカレのハーフ(39位)では自分の力を出しきれていなかったので、ロードでも走れるところを夏合宿などで証明していかなといけない。ただ、自分は駅伝に出て、区間上位で走らないといけない存在だと思っていますので、メンバーになることではなく、その先の勝負を見据えて練習していきたいと思います」

【岡田はエース区間を希望】

 5000mB組には、ルーキーながらトラックシーズンで抜群の存在感を示している岡田開成が出走した。スタートから留学生や実業団の外国人選手に交じって先頭集団を形成し、積極的な走りを見せた。

「このレースでは、U20日本記録(13分22秒91・佐藤圭汰/駒澤大3年)の更新と折田(壮太・青学大・13分28秒78)君が(13分)30秒を高校の時に切っているので、それを超えたいと思っていました。ここまで溜池さんが(10000m)27分台を出して、柴田さんが自己ベストを出し、本間さんが組トップを獲ったので自分もいける自信がありましたし、留学生についていけたら狙えると思っていたので、自分の限界までついて行こうと思ったんですけど、3000mもついていけなくて......まだまだ力不足ですね。ただ、最初、突っ込んで最終的に13分36秒台でまとめることができたので、少しは成長できたかなと思います」

 岡田は、息を切らしながらそう言った。

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