駒澤大学・大八木弘明総監督が歩む「箱根駅伝から世界へ」の新たな道 自ら立ち上げた「Ggoat」で世界レベルの選手育成に励む (3ページ目)
【海外から学ぶべき点と自立の大切さ】
――海外のチームを見習って取り入れたいというのは、具体的にどのようなところでしょうか。
大八木 ポイント練習のペースなどトレーニング面もそうなんですけど、一番は生活面ですね。メリハリの付け方です。海外のチームを見ていると、切り替えの仕方にはいろんなやり方がある。トラックシーズンは9月ぐらいで終わるので海外の選手は1月ぐらいまでは自由にしていて、1月から3月ぐらいにかけて徐々に始動していきます。それをどのように日本の選手にアレンジしていくかを考えて、うまくやっていかなければいけません。
日常のトレーニングも、朝、午前、午後とそれぞれの練習量の配分が違いますし、ウォーミングアップやクーリングダウンにもいろんなやり方がある。自分にどう当てはめていくかが大切ですよね。
――佐藤選手も冬季に単身、海外のクラブチームに参加していました。
大八木 圭汰は2カ月間ぐらい(アメリカへ)行っていました。まだまだ成長期で、やり過ぎてしまったところもあったのかもしれません。それで少しケガをしてしまいましたが、そういった経験から学ぶことも大事だと思いますね。すべてが順調にいくわけではないので。
圭汰は単身で海外に行っていましたが、自立することは大事です。自立できていないと、自分では考えられなくなって、人に頼ってしまう。ひとりで海外の試合に行くことになれば、何でも自分でやらなければいけませんから。
つづく
【Profile】大八木弘明(おおやぎ・ひろあき)/1958年7月30日生まれ、福島県出身。会津工業高卒業後、家庭の事情で就職したが、終業時間外で練習し競技を継続し、24歳の時に駒澤大学に入学。1年時は5区区間賞、2年、3年時は2区でそれぞれ区間5位、区間賞を獲得した。大学卒業後はコーチ兼選手としてヤクルトに入社。1995年に低迷する母校・駒大から再建を託されコーチに就任すると、2年目の箱根駅伝(1997年・第73回)で復路優勝、3年目の1997年度に出雲駅伝で学生三大駅伝初優勝したのを皮切りに同大を学生トップチームへと引き上げる。2022年度に監督を勇退するまで出雲4回、全日本大学駅伝は3連覇以上3回含む15回、箱根では2002〜2005年の4連覇を含む8回と三大駅伝通算27回の優勝を果たした。2023年度から総監督となる一方、世界大会を目指す選手を育成するGgoatを立ち上げ、個々の指導に当たっている。
著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。
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