アトランタ五輪で千葉と川上が示した日本女子長距離ランナーの底力 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

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 8月2日の決勝は世界記録保持者の王だけではなく、錚々たる選手が揃った。92年バルセロナ五輪1万m優勝のデラル・ツル。後年の00年シドニー五輪1万mで2位、5000mで3位、さらにマラソンでもワールドマラソンメジャーズの初代女王になったゲテ・ワミ。この2人のエチオピア勢に加え、95年に5000mで世界記録を出したフェルナンダ・リベイロ(ポルトガル)や、ニューヨークシティマラソンを連覇中で98年には世界記録を樹立するテグラ・ロルーペ(ケニア)、という顔ぶれ。

 予選から少し重い走りだった鈴木は、日本選手権で見せたようなキレのある走りを披露できなかった。「マラソンを走ったことから来る疲労がずっとあって、体が思うように動かなかったのが今日の結果」と話したとおり、4400mから16位という結果になった。

 一方、「優勝争いできる選手なら誰をマークするか考えるだろうけど、まだ自分たちはそういうレベルではないので、速く走っている人について行くしかないと思っていた」という千葉と川上は、世界の選手を相手に大健闘の走りを見せた。

 とくに千葉は、王やリベイロ、ツルなどの先頭集団に入り、しっかりと前で勝負した。

 3000mを9分17秒21で通過したあとは「ペースが落ちたなと思った時に、スペースがあったので前に出ました。それをきっかけに、誰かがペースを上げてくれればいいなと思った」と振り返るとおり、先頭に立った。予選のような独走状態にはしなかったが、4000m手前までは集団を引っ張った。さらに6700mからも前に出たが、予選の印象が強いのか、そのたびに場内アナウンスで"千葉"の名前が連呼された。

 予選では自分の名前がアナウンスされるのが聞こえたが、決勝では気づかなかった、という千葉は、レース後に「先頭を走るのは気持ちいいですね。こういう舞台に私も参加していることをアピールしたかったから、先頭に立ってみました」と、アッケラカンとした表情で話した。

 8800m手前からリベイロと王、ツル、ワミがスピードアップ。この時、「気がついたら前にいなかった」と、千葉は一気に離されてしまったが、ラスト1周で落ちてきたロルーペをかわすと、5位でゴールした。

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