【月報・青学陸上部】注目の出雲駅伝は「山梨学院大と一騎打ち」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by AFLO


「もともと風が強いところで、それは想定していたんですが、もう横からの風が強くて神立橋のところが一番スゴかった。その後の正面からの爆風もヤバかった。これが追い風だったら、ここで差がついたのにと思っていました」

 昨年、田村和は出雲に出場できなかった。今年は故障もなく、夏季合宿を無事に乗り切り、調子が上がっていた。そして、出雲の切符を手にした。夏季に鍛えられた力強い走りは爆風をモノともせず、2.5km付近で首位の東海大をとらえると、そのままトップに立った。だが、東海大は田村和の背中に吸い付くように離れなかった。

「ピッタリとうしろについていましたね。風よけに使いやがって(笑)と思っていたけど、相手が本当に粘り強かった」

 残り600mになり、田村和が足を速めた。 ラストスパートという意識はなかったが、気がつくと舘澤が離れており、そこで思い切ってスパートに切り替えた。田村和は2区を首位で通過。東海大に3秒差、山梨学院大には23秒差をつけた。

「あとは下田の調子がいいんで、トップを走って山梨にプラス15秒ぐらい差をつけてくれる、そう思っていました」

 田村は完璧に自分の仕事を全うした。2区までは原監督の読み通りに進んだのである。
 
 3区はエース区間と言われ、各大学の実力者がズラリと顔を並べている。東洋大は服部弾馬(4年)、順天堂大は塩尻和也(4年)、東海大は若きエースの関だ。

 首位で襷を受けた下田は、序盤やや突っ込んだ走りを見せた。いつもは冷静に自分のペースを守って走るタイプだが、山梨学院大とのタイム差を気にしたのか、それとも関の走りを気にしていたのか。

「最初、突っ込んだのは僕が2分40秒ペースでいくと、関くんが2分40秒を切るペースでくることになる。それで後半、(彼が)足にきて離せると思ったら、離されたのは僕のほうだった」
 
 2.6km付近で関にかわされると、下田はついていけなかった。

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