有森裕子が語る、女性アスリートが抱える問題。「被害を訴えたくても解決するイメージがわかない」という現状 (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • 石川高央●撮影 photo by Ishikawa Takao

 それは女性がスポーツにおいて、未来をどう描けるかという差かなと思います。男性にはプロや実業団などスポーツで活躍する選択肢がたくさんありますが、女性はやっぱりまだ少ない。そうすると、大学スポーツで成績を残した後、「それが生きるのにつながりますか」、「将来どれだけの意味を持っていますか」と疑問を抱いてしまう。その描ける未来も含めて盛り上げないといけないなと感じています。

――大学での女性アスリートの少なさのほかに、どんな悩みが出てきましたか。

 指導者の多くが男性というのは困っていましたね。月経のことなど、一番センシティブな体のことを含めて相談したいけど、ほとんどが男性なので、非常に難しさを感じているということでした。スポーツ団体や学校など、指導者などを選ぶ立場の組織の人がほとんど男性なので、そこに不平等さを感じる人も少なからずいますね。

――女性アスリートが抱えている悩みを解決していくために、どのようなことが必要でしょうか。

 小学校の時に、具合が悪くなったり、ケガをしたりした時に、真っ先に保健の先生のところに行きましたが、それと同じで、身近にそんな相談者がいることが大切ですね。女性アスリートは、大学の年代ですごく体が変化しますし、体重コントロールも難しく、それによってメンタルコントロールも難しくなるので、指導者にプラスして、メンタル的な部分と医学的な見地で相談できる人は配置しておくべきでしょうね。

 本来は大学側が設置すべきだとは思いますが、課外活動の位置づけとなると、大学側に要求することは難しいので、UNIVASがカバーしていくという方法もあります。今はパワハラやセクハラの相談窓口がありますが、将来的にカウンセリング的な面、フィジカル的な面の相談や紹介の窓口になることも大事なのかなと思います。

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