2020.03.05

フェンシング太田雄貴、北京五輪銀メダルの裏にあった「背水の陣」

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 これで太田の銀メダル以上が確定した。だが、太田にはもはや体力が残っていなかった。太田が2回戦からの3試合ですべてもつれる試合をしていたのに対し、クライブリンクは常に相手を10点以下に抑える圧勝で勝ち上がっていた。案の定、決勝は9-15で敗れて太田の2位が確定した。

 それでも、戦いを終えた太田の表情は清々しかった。

「金メダルだけがメダルじゃないと思うし、自分では本当によく頑張ったと思います。日本のフェンシングは、64年東京五輪の男子フルーレ団体で獲得した4位がこれまでの最高記録でした。それを塗り替えたことは、自慢してもいいと思います」

 太田は、そう笑顔で話した。

 太田雄貴が獲得した銀メダルは、命運をかけた日本フェンシング協会の勝利でもあった。そしてそれは、日本フェンシングの新たな道を切り拓く大きな一歩になった。

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