【月刊・白鵬】横綱が分析する「天才棋士」藤井聡太四段の強さ (4ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 例えば、料理がテーブルに並べられたとき、大人はわりと一番美味しいものというか、一番好きなものを最後に食べようとするじゃないですか。けれども、子どもはまず、美味しいもの、好きなものから手をつける。

 そこに"計算"というものはありません。自らの欲望の赴くままです。藤井四段も同様で、大人特有の変な計算がないから、計算しすぎる相手(大人)はその純粋さに敗れてしまうのではないでしょうか。

 また、相撲では"勝ち"を意識しすぎると、体に余計な力が入ってしまったり、思うような動きができなかったり、ということがあります。だからといって、無欲、無心でいいのかというと、そういうわけでもありません。

 頭の中で"勝つ"イメージを描きつつも、平常心を保って、いつもどおり体が動くこと──それが、理想なのでしょう。でも、それこそ本当に難しいことですが......。

 藤井四段は今、そうしたスタイルで戦えているのだと思います。

 さて、話は名古屋場所に戻りますが、今場所も初日から満員御礼が続いています。それは、本当にありがたいことだと思っています。

 蒸し暑いこの季節ですが、大相撲をご覧になってくださるすべての方々のために、われわれ力士は日々全力で戦う覚悟です。どうぞ、千秋楽まで注目していただき、熱い声援を送っていただければ幸いです。

■大相撲記事一覧>>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る