スポーツ心理学者が解明する「アスリートの暴言」問題と、その防止法 (2ページ目)

  • 大地功一●取材・構成 text& by Oochi Koichi
  • photo by Fujita Masato

 特に最近になって選手の暴言・暴行が顕著というわけではなく、マイクで声が拾えたり、視聴者がより近くで言動を観察できる環境ができてきたので目立つのでしょう。例えば昔からテニスのジョン・マッケンローは酷かったでしょうし(笑)、今になって増えたわけではないと思います。

 アスリートにとって何が道徳的に正しい行動かは、子供のときの成長段階で教えてもらえるはず。大人になって知らないということは残念ですが、そこから知るしかないですよね。誰かが教えてあげるしかない。

 どのスポーツでもそうですが、同じ時間、同じ場所に相手がいないとプレーできません。ということは、自分たちが練習してきた成果を発揮する場所が与えられないことになります。そういう意味では相手があってこその試合なので、自分の力を発揮したいのなら、スポーツでよく使う言葉、「リスペクト」を理解してもらいたい。

 例えばサッカー選手として「くさい」という発言をする自分に対するリスペクトがあったのか。子供たちがたくさん見ていて、お手本にならないといけない自分をリスペクトしたときに、そういう言動に出るのか。相手や状況がどうであれ、自分、相手、子供たち、観客に対するリスペクト、というのを考えられるようにトレーニングしていく必要があります。

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