【月刊・白鵬】復活V狙う横綱が、九州場所で気になる「2人の力士」 (4ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 ともあれ、石浦も、山口も、ここまでの道のりは本当に厳しかったと思います。特に山口は、病気で稽古をすることもままならない状況でした。そのため、本来の明るい性格もどこかに吹っ飛んでしまうほど、落ち込んでいた時期もありました。そんな、どん底な状態から復活を遂げた彼のハートの強さには、頭が下がるばかりです。今後の活躍が一層期待されます。

 石浦も、"軽量"という簡単には乗り越えることのできない壁の前でずっと苦しんでいました。しかし、決してへこたれることはありませんでした。黙々とトレーニングをこなして、筋肉をつけることで"軽さ"をカバーしていこうと、日々懸命に稽古を重ねていました。その真摯な姿勢が今回、実を結んだのだと思います。

 加えて、十両の土俵では、反り技など"異能相撲"を取る宇良という力士が台頭してきたことも大きかったですね。厳密に言えば、相撲のタイプは違うのですが、ともに小兵で業師ということで、ふたりの対戦は注目を集めていました。それが、石浦の励みになったと思います。

 そうして、秋場所で十両筆頭だった宇良よりも、6枚目の石浦がひと足早く新入幕を決めました。そこには、大きな意義があると思っています。

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