【月刊・白鵬】横綱もグッときた、千代の富士の「還暦土俵入り」 (4ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 その千代の富士関が、6月1日に60歳を迎えました。それを祝して、夏場所後の両国国技館で還暦の土俵入りが行なわれました。

 還暦のお祝いとして、特別に打った赤い綱を締めて土俵入りを披露するわけですが、横綱経験者にとっては、ひとつの目標とする行事でもあります。医療の発達が目覚しい現在と違って、横綱という重責を担った者が還暦まで存命でいられることは、かつては難しかったという背景があるからです。

 ともあれ、今回驚きだったのは、千代の富士関の体が、還暦を迎える方とは思えないくらい、素晴らしかったことです。現役時代から筋肉質な体つきでしたが、当時と変わらぬ立派なもので、24年ぶりという土俵入りでも、ビシッと決まって、貫禄にあふれていました。今回の土俵入りに向けて、体を鍛え直してきたそうですが、それにしても見事なものでした。

 露払いに日馬富士、太刀持ちに私を従えた千代の富士関。その姿を見て、集まったお客さんからは、「千代の富士~、日本一!」とあちらこちらからかけ声が飛んできました。そうした光景を見ながら、私の中でも感慨深いものが込み上げてきました。

 おそらく、太刀持ちを経験することは、これが最初で最後になるかもしれませんが、この経験はしっかりと記憶に刻んでおきたいと思います。本当に貴重な体験ができた還暦土俵入りでした。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る