【レスリング】吉田沙保里、五輪史上初「女子4連覇」への想い (4ページ目)

  • 宮崎俊哉●構成 text by Miyazaki Toshiya  根本好伸●撮影 photo by Nemoto Yoshinobu

――それは初めての体験ですよね、そもそも、フォールされそうになったことがないのですから。

吉田 まぁ、そうですね。あのときはすぐに、そんな弱気を打ち消すもうひとりの自分が現れて、ダメダメの自分の横っ面を思い切り引っ叩いてくれました。「こんな試合をしていたら、お父さんに怒られるぞ。お父さんに金メダルを見せるんだ」と。

――昨年3月、お父様が急逝されましたが、「お父さん」が吉田選手のモチベーションを高めるカギになっているんですね。

吉田 それは間違いないですね。今でも父には何でも相談しています。「お父さんだったら、どうするか?」「お父さんだったら、なんと言うか?」。そう考えれば、絶対に間違うことはないでしょうし、迷わず、正しい道を歩いて行けると信じています。

(後編に続く)

【profile】
吉田沙保里(よしだ・さおり)
1982年10月5日生まれ、三重県津市出身。綜合警備保障(ALSOK)所属。自宅でレスリング道場を開いていた父・栄勝(えいかつ)氏の指導のもと、3歳から競技を始める。2004年アテネ五輪、2008年北京五輪、2012年ロンドン五輪の女子55キロ級・金メダリスト。2012年の世界選手権を制し、男女通じて史上最多となる世界大会13連覇達成(現在は15連覇中)。この功績により、2012年11月に日本政府から国民栄誉賞を授与された。2015年、自身初の著書『明日へのタックル!』(集英社)が発売。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る