【スキージャンプ】新たなライバル出現で、髙梨沙羅がさらなる成長 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真photo by Tsukida Jun

 さらに翌日の混合団体ではチームの優勝に貢献したものの、個人的な戦いでは振るわず。1本目を105.5mの大ジャンプでテレマークも入れて圧倒したが、2本目は向かい風が弱くなって94mに止まった。強い向かい風で105.5mを飛んだプレトリウスに12.9点差をつけられる2番手に。2本の合計得点でも相手に引けをとる結果になった。

 戸惑いはそれだけではなかった。帰国後8月3日の札幌市長杯宮の森サマージャンプ大会(ノーマルヒル)でも苦杯をなめたのだ。

 今回は国内戦のために※ウインドファクターの加減点がない試合になったが、風のいたずらに泣かされたともいえる結果だ。立ちはだかったのは4月から土屋ホームに入社して、葛西紀明監督の指導を受けるようになった伊藤有希。彼女はヒンターツァルテンではW杯とサマーグランプリを通じて自己最高位の6位に入り、好調な滑り出しをしていた選手だ。

※ランディングバーン脇に設置された風力計が示す平均値で計算される点。不利な風ならプラス、有利な風ならマイナスされる。

 1本目はその伊藤が97mを飛ぶと、その後の高梨は向かい風が強くなり過ぎてスタートを2分近く待たされてしまった。そしてスタートをした時には若干風が弱まり、飛距離も94.5mに止まってしまった。

 2本目は先に95.5mを飛んで伊藤のジャンプを待ったが、今度は伊藤が少しスタートを待たされる状態に。それでも伊藤は同じ95.5mを飛び、テレマークも決めて飛型点で上回って2本ともトップで優勝した。

 2位に止まった高梨の口からは「何かモヤモヤしている。一から出直したい」と反省の弁ばかりが出てきた。

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