2013.05.01

為末大も提言。
「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」の意義と未来

  • 木村元彦●取材・文 text by Kimura Yukihiko

 日本オリンピック委員会(JOC)、日本体育協会(日体協)、日本障害者スポーツ協会、全国高等学校体育連盟(高体連)、日本中学校体育連盟(中体連)、5団体の主催によるイベント「スポーツ界における暴力行為根絶に向けた集い」が4月25日に行なわれた。

 会の中で基調講演を担った為末大は「これは私の主観ですが」と前置きしながら、今後の日本スポーツ界がどうなっていくべきかというポイントを掲げた。

基調講演を行なった為末氏。国際経験豊富な自らの体験も語った photo by AFLOSPORT 曰く「管理をするよりも自立」「問答無用から対話へ」「上下関係から対等な関係」「画一型から多様性」。これらの文言は為末の競技者半生を知っている者であれば、どれも彼自身が現役時代に体現してきたものであることを理解しているだろう。2001年エドモントンの世界陸上で、日本人選手として初めて短距離種目で銅メダル獲得という快挙を成し遂げたハードラーは何より「自立」を志したアスリートであった。

 中学時代に100m、200mの全国二冠を達成した生粋(きっすい)のスプリンターは高校に入ると自己の能力を分析して400mハードルを選び、進学時には「指導者からの自立」として自身でメニューを組める法政大学を選ぶ。師匠をあえて作らなかった彼は大学で日本新を連発し、大阪ガスに就職後も「精神的、経済的な自立」を目指し、その安定から飛び出して欧州の賞金レースを転戦した。そして、2008年には世界陸上ヘルシンキ大会で再び銅メダルを獲得している。

 スポーツにおいて豊富な国際経験と前人未到の実績に裏打ちされた勝者の発言は何事にも勝る説得力がある。だからこそ世界陸上で2度のメダルを取った為末が語った次の言葉には大きな意味がある。

「今から始めてほしいと思うことは、私たちは体罰を容認してきたということを本当に反省をして、どんな人間をこれからスポーツで育てたいのか、スポーツが社会にどんなものをもたらしていくのか、というのを競技間、年代間、性別、もしかしたら国もまたいで、みんなで話し合って、もう一回日本のスポーツを復活させることです」