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レジェンド本田武史が現代のフィギュアスケート界を語る「次のスターが出ないと難しくなる」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【自分の時代にあったら...現在のフィギュア界に思うこと】

ーー自身の競技人生を踏まえて考えると、今のフィギュアスケート界はどう思いますか。

 選手層がすごく広がったなと思います。2023年の全日本選手権を見ても最終グループはほぼ全員ノーミスという、あれだけの"神大会"というのはなかなかない。ライバルも多くてお互いに競い合いながら成長していくところは、自分の時にあったらどうだったのだろうなと考えたりします。

ーーしかし、そんな日本男子の層の厚みを生み出すきっかけも、本田さんの存在があったからこそ。

 一番思ったのが、昔は全日本選手権を土曜と日曜しかやらなかったので男子は朝8時から試合で昼には終わっていたんです。その後、キス&クライをつくったりして、すごく腹が立ちましたね(笑)。僕の頃の全日本はキスクラ自体がなくて、リンクサイドで電光掲示板を仰ぎ見て点数を待つ時代でした。

 だから、「代々木体育館で全日本開催」となった時は「はぁ?」と思って(笑)。でも、だからこそ当時のフィギュアスケート関係者がすごく頑張って育てようとしてくれたし、人前で滑る機会が少ないからと『ドリーム・オン・アイス』や『メダリスト・オン・アイス』を新設してくれたりしました。そういう努力があって、みんなが育ってきた部分もあると思います。

ーー女子も荒川静香の世界選手権優勝(2004年)あたりから続々と新しい選手が出てきたし、男子も高橋大輔のあと続々と選手が出てきました。

 新人発掘の野辺山合宿一期生で、荒川もいたんです。伊藤みどりさんの銀メダル(1992年アルベールビル五輪)以降に新人を発掘しようと始まったけど、それを続けてきたことが大きな要因になっているのはたしかだと思います。ただ、大きな波が確実にあるから、今は次のスターが出ないと難しくなるかなとは思うし、インストラクターをやっていてもスケート教室に入ってくる選手がものすごく減っているのは気がかりです。

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