NHK杯は鍵山優真が首位発進 フィギュアスケート日本男子は切磋琢磨して「どんどん上を目指す」
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【いいバランスで生活できている】
11月8日、国立代々木第一体育館。GPシリーズ・NHK杯フィギュアスケート2024のリンクに、鍵山優真(21歳/オリエンタルバイオ・中京大)が颯爽と登場した。昨シーズンのGPファイナルは3位、世界選手権は2位で、その躍進は目覚ましい。
ショートプログラム(SP)、凛然としてスタートポジションに入った。
「まずは自分自身が楽しんで滑る」
鍵山は自らにそう言い聞かせていたという。練習どおり、最初から最後までできれば、自ずと結果は出る。その信条で、演技に入り込むことができた。
「毎日、いい状態で練習を積み重ねられているのがいいところだなって」
鍵山は顔を上げ、明るい声で言う。
「会場に入る時にワクワクした気持ちで、代々木の体育館を見ることができました。今は、自分の世界に入りすぎず、周りに飲まれすぎず。ちょうどいいバランスで生活できているので、すごく自然に滑れているなって思います。いつもの自分らしさを出しながら、今日の演技を迎えることができました」
彼は自分へベクトルを向ける。その律儀さが、この日の会心の演技につながったかーー。
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。