羽生結弦が選んだ特別なプログラム。平昌五輪は「この曲で勝ちたい」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

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2017年8月、カナダ・トロントの公開練習時の羽生2017年8月、カナダ・トロントの公開練習時の羽生 以前、『バラード第1番』に関しては、使用することをかなり迷っていたと羽生は話していた。2016ー17シーズン、ノーミスの演技ができなかったSP曲『レッツ・ゴー・クレイジー』を持ち越すと考えもあったという。さらに『バラード第1番』の使用について、羽生は「『(使用するのが)3シーズン目ってどうよ?』という気持ちもなくはなかった」と苦笑していた。

 それでも、『バラード第1番』に決めた理由を、羽生はこう語る。

「(17年4月の)国別対抗戦のエキシビションのアンコールで『レッツ・ゴー・クレイジー』のステップの部分をした時、結構消化できたんです。自分の中で『これが見せたかったものだな』と思って、それで(次のシーズンは)『もうこれじゃないんだな』と思えた。それでやっと前に進める感じになれた」

 17年3月の世界選手権のフリーで『ホープ&レガシー』をノーミスで演じられたこともきっかけのひとつとなった。大事な大会で「バシッと決められたのが、すべてだった」と言う。

「『ホープ&レガシー』は感情を作りきらないのが僕のテーマ。"思うままに。流れるままに"というコンセプトで、世界選手権は『これがしたかったんだ!』という試合ができた。これまで曲のストーリーを考えたり、キャラクターを意識したりといろいろやってきましたが、『バラード』と『SEIMEI』をやったシーズンで経験したことを、やっと手のひらに収め始めた感じがありました。

 それをもっと広げられると思って臨んだのが2016ー17シーズンだったんです。ただ、4回転ループを入れたり、後半の4回転2本などに着手したからこその難しさはありました。それでも、最終的には表現面では大きなものをつかめたと思います。

 シーズンを通して強く感じたのは、フリーはそれぞれの試合ごとにまったく違う空気感だったということ。だからこそ、(SPでも)以前とは違う『バラード第1番』ができるのではないかと思ったんです」

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