宇野昌磨は新たな自分の可能性を見つけたい。環境を変えて果敢に挑戦 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 4回転に関しては、今まではサルコウとフリップとトーループの3種類に加えてループも少しやっていましたけど、ルッツはやっていませんでした。でも、ロシアでの1カ月間を経験したことで、それもやっていこう、と思う気持ちが強くなりました。あとは、なかなか使い道はないかもしれないけど、今までやったことがなかったセカンドの3回転ループをやってみて、『跳べないことはないな』とも感じました。何か新しいジャンプを会得したというわけではないけど、いろいろやってみようと思うきっかけにはなったと思います」

 ロシア合宿の成果を振り返る宇野は、フリーのジャンプ構成に関してもこう話す。

「トリプルアクセル+4回転トーループは、もし入れるとしたら後半はありえない。トーループはもともと後半で跳べていましたが、前半でやっていたフリップとサルコウの4回転のどちらかは、絶対に後半に跳ばなければいけなくなります。だから、フリーではトリプルアクセル+4回転トーループが課題というよりも、それが入ることによって変更しなくてはいけなくなる後半の4回転のほうが、むしろ課題ですね。

 そのためには体力が必要ですけど、やはり後半となると前半と同じように跳ぶのは不可能です。体が万全に動いていない時でも、フリップとサルコウを跳ぶことによって、『これだけきつくても跳べるなら、後半でも跳べるはずだ』というふうに、自分の中の4回転フリップと4回転サルコウの難易度を少しずつ下げていけば、いずれは後半でも跳べるようになるんじゃないかと思います」

 練習での4回転への取り組みは、そんな思いも込められたものだったのだ。だが、宇野は新シーズンへ向けて、そのようなジャンプに対する思いとは違う期待も抱いている。それは、新たなプログラムに対するものだ。

「今までの僕は、美穂子先生の振り付けでしか試合をしたことがなくて、エキシビションはデビッド・ウィルソンさんやシェイ=リーン・ボーンさんに振り付けをしてもらうことが多かったんです。でも、選手ひとりひとりの個性があるように、振付師の方にもそれぞれの個性があると思います。だから、違うものも試してみたい。

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