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【ボクシング】井上拓真vs.那須川天心 在米記者4人が語る「初戦の天心の敗因」「拓真に残る不安」 (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Daisuke Sugiura

1.拓真vs.那須川の初戦をどう振り返るか

ゴンサレス : 昨年11月の第1戦では試合を通して拓真がよりクリーンで効果的なパンチを当てていた。採点はもう少し接近していてもよかったが、あの夜に勝つべきだったのは拓真だった。

2024年10月に堤聖也(角海老宝石)に敗れて以降、拓真は確実に復調を遂げている。あれは当時の彼にとって必要な敗戦だったのだろう。それまでの拓真には物事があまりにも簡単に進みすぎていた部分があったのかもしれない。あの挫折を経て、もう一度世界王者になるためにはもっと多くのものが必要だと理解するようになり、それが実際に形になったのが天心との第1戦だった。

キム : 前戦は非常に緊張感があり、多くのラウンドで競った展開になった。それでもふたりのうち、より多くのラウンドでコンスタントに戦っていたのは拓真だったと思う。接戦になったラウンドでは、ジャブを軸にした手数が拓真にアドバンテージを与えた。天心は時に慎重になりすぎてしまい、拓真ほど精力的に動いていないという印象をジャッジに与えてしまった。

テイラー : 初戦を迎えるにあたって、私は天心が拓真を下すと思っていた。天心は元世界王者のジェイソン・モロニー(オーストラリア)戦で貴重な経験を積んだし、非常に学習能力の高い選手だからだ。拓真は1年のブランク明けで、堤聖也には手数で上回られて敗れていた。だから私は天心が攻撃面で拓真を圧倒できると思っていた。私が親しくしているIBF世界フェザー級王者アンジェロ・レオ(アメリカ)は、これまでスパーリングや実戦で拳を交えた日本人選手のなかで天心が最もタイミングに優れていると言っていた。それには驚いたが、実際に天心の試合を見て成長しているのを感じていたので、彼の言葉を信じることにした。

 拓真がノルディーヌ・ウバーリ(フランス)と堤に負けた2敗は、どちらも攻撃面で圧倒されたことが原因だった。だから天心も同じことができると思っていたので、試合結果には驚かされた。拓真はすばらしいアジャストメントを見せ、ただアウトボックスして勝ったわけではない。前に出てアグレッシブに戦いながら天心を圧倒した。すばらしいゲームプランを考えた井上真吾トレーナーには大きな称賛を送りたいし、試合の途中で見事な修正を加えた拓真も評価しなければならない。

バティア : 私は2024年2月、東京・両国国技館で行なわれたジェルウィン・アンカハス(フィリピン)戦で拓真の試合の実況を担当する機会に恵まれた。その夜の試合を見て、彼がどういうボクサーかわかったような気がした。アンカハスは長年にわたって世界王者だった選手で、本物のパンチ力も持っていた。それに対して拓真は忍耐強く、頭を使って戦った。見事なカウンターを決め、ハンドスピードを生かし、ボディーを攻めてアンカハスを徐々に削っていき、9回に仕留めた。アンカハスにとってキャリア初のKO負けだった。しかもパンチャーとして知られているわけではない拓真に倒された。

 拓真は相手をじっくり研究し、ラウンドごとに問題を解決し、決してパニックにならない優れたボクサーだ。前戦の天心戦でもまさにそのように戦った。天心はスピードと動きを生かして最初の2ラウンドを制し、拓真をぐらつかせる場面もあった。それでもそこからアジャストし、ボディーを攻め、右を当て、試合を支配していった拓真の姿は印象的だった。

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