検索

朝倉海は「有利」なはずの打撃でも苦戦 髙阪剛が語るUFC王者の「ヘタウマ」な打撃が当たる理由と、朝倉が取り組むべき課題 (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――ドンピシャのカウンターにはならなかったということですね。

「そうですね。とはいえ、レバー側だったので多少は効いたと思います。冷静に試合運びができているときの海選手であれば、チャンスと見て一気に攻めたかもしれません。ただ、その前に組まれていたのが頭をよぎって、『また寝かされたら嫌だな』となり、前に出られなかった可能性もあると思います」

――パントージャ選手の"ヘタウマ"な打撃が当たるのは、相手が組み技や柔術を警戒しているからでしょうか?

「それがMMAの面白いところであり、怖いところです。組みを警戒すればするほど手が下がって顔が空きますから、パンチが飛んでくるとブロックが間に合わないんですよ。逆に顔を守って高い位置でガードすると、組まれた時の対応が遅れる。そういうことがMMAではよく起こります。

 パントージャがやっていること自体はシンプルですが、それをひたすら繰り返せるスタミナがある。しかも、テンポを変えて相手が警戒せざるを得ない状況を作り出しています。攻撃をバンバン仕掛けているわけではないのに、気づけば相手はどんどん削られていく。試合中に相手が『なんでだろう』と疑問符が浮かぶようなことを、ずっとやっているんですよね」

――戦前、打撃では海選手のほうが優位という見方もありましたが、パントージャ選手の打撃がよく当たっていました。

「身長(海:173cm、パントージャ:165cm)もリーチ(海:174cm、パントージャ:172cm)も海選手が上回っていましたが、パントージャは体の使い方がうまいんです。歩きながら体を動かして、『ひねり』や『うねり』を生かして腕を伸ばしてくる。止まった状態で手を出すのとは違います。1発目ではなく、2発目、3発目を当てにいっていますね」

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る