RIZINで活躍する元キックボクサーのなかで、高阪剛が絶賛する選手は? UFC挑戦の朝倉海へのエールも送った (3ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――現UFC世界ライトヘビー級王者のアレックス・ペレイラ選手は、GLORYの王者になった後にMMAに転向して成功していますね。

「昨今の格闘技を見ていて思うのは、打撃からMMAに転向して成功している選手は、必ず強い武器を持っていることです。ペレイラ選手であれば左フック。ひとつ強力な武器があることで、ほかの技術も活きてくる。そういった感じで、打撃の強さを保ちながらほかの技術でも戦える選手が増えていますね」

――ひとつ武器があるのが前提で、それ活かすためには結局、すべての技術を高める必要があるということでしょうか?

「そうですね。ひと昔前だったら、武器がひとつでも戦えたんですけどね。今はMMAとしてすべてを成立させた上で、自分の強い武器をどれだけ伸ばすことができるかが大事です。最近は、武器をいくつも持っている選手も増えてきています。逆にひとつの武器以外を捨てていたり、穴があるタイプの選手だとトップ戦線で勝つのは厳しくなってきました。

 今は、YouTubeなどで最先端の技術を視覚で確認することができます。先ほど名前が出たペレイラ選手はストライカーですが、自分からタックルに入ることもできる。所属ジムの師匠であるグローバー・テイシェイラ(元UFC世界ライトヘビー級王者)から授かったのかもしれませんが、本当に必要だと思って習得していなければ、試合では実践できません。ちゃんと取り組んでいる証拠だと思います」

――同じようなことが、RIZINの立ち技出身ファイターたちにも起きようとしている?

「そう思いますね。世界のトップ選手たちの技術や戦略が即座に伝わる時代ですし、ここ数年で進化が加速したように感じます。成功例はもちろん、うまくいっていない例も映像で確認できるので、自分が何をすべきかがわかりやすくなっているはず。ただし、それを実際に身につけられるかどうかは別問題。選手自身の努力や能力次第です」

――先ほど名前が挙がった久保選手は、現在5連勝中と波に乗っています。MMA選手として適応してきた要因はどこにあるでしょうか。

「久保選手は高橋遼伍選手との試合(『RIZIN LANDMARK 9』)のなかで、MMAで足技を使う距離感などを掴んだ感じがしました。『ここで、この技を出したら相手は嫌だろう』というタイミングで出していましたから。斎藤選手との試合で見せた三日月蹴り(本人曰く、ストレートキック)もそうですけど、久保選手のセンスが昇華された感じがしました。もちろん努力もしたでしょうが、もともとMMAのセンスがあったんだと思います」

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