村田諒太は「月」に行けるか?ミドル級王者に向けて舞台は整った (4ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 しかし、ラスベガスのリングに立つという夢ならば、2015年11月のガナー・ジャクソン(ニュージーランド)戦、2016年7月のジョージ・タドーアーニッパー(アメリカ)戦で、すでに叶えている。戦い続けるのは当然、世界チャンピオンになるためだ。

 関係者はもちろん、多くのボクシングファンが五輪金メダリストの世界王者誕生を期待しないわけがない。それを百も承知で、村田はその双肩に多くの人たちの希望や夢や願いを背負った。

 そして、2013年8月のプロデビューから数えて約4年。その夢が叶うかもしれない日が訪れたのだ。

 試合を目前に控え、村田は言う。

「試合を成立させてくれたみんなに恩返しがしたい」

 今回のタイトルマッチが成立したことが、日本で開催できるということが、千載一遇のチャンスであるのは間違いない。繰り返すが、村田には運がある。

 しかし同時に、村田にはプロでの試合経験が12試合しかないこともまた事実だ。あるボクシングジム関係者は、こう言っている。

「より経験を積むために、世界戦の前にできればあと5試合、最低でも3試合はやっておきたかったのが本音ではないでしょうか」

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