藤田和之が元大関・バルトと真っ向勝負「体ひとつでぶつかるだけ」 (3ページ目)

  • 松下ミワ●文 text by Matsushita Miwa
  • 保高幸子●撮影 photo by Hotaka Sachiko


──でもキャリアからすると、藤田選手はやっぱりナチュラル・ボーン・ファイターというか、MMAのほうが、水が合っていたような気がします。

「どちらかというと、そうなりますね。もっと強さを表現できていれば、今頃プロレスに残っていたと思いますし。今思うと、当時は『表現』という言葉に抵抗があったのかな......正直すぎたんでね。ただ、プロレスを学んでいなかったら、僕なんか本当にただのゴロツキですよ。プロレスを経由したから今の自分があるし、それはやっぱり猪木さんであり、長州さんであり、教科書がすごくたくさんあったので」

──今年4月、RIZINに初参戦しましたが、最初、オファーが来たときはいかがでした?

「うれしかったです。突然だったんで、『なんで、今なんだよ!』と思いましたけど(笑)。ただ、それはひとつの挑戦だし、こういう状況で闘うことが、またひとつ自分のキャリアになるのかな、と。しかも、今一番乗っている選手が相手だというので、よけいにありがたかったですね」

──4月の対戦相手は、昨年末の100キロ級トーナメントの準優勝者、イリー・プロハースカ選手でした(プロハースカが1ラウンド3分18秒、TKO勝利)。

「自分は年齢もキャリアもだいぶいっていますけど、相応の相手とお茶を濁すんじゃなくて、一番勢いのある選手と闘わせてくれたことに対してポジティブでしたね。結果はどうあれ、その雰囲気を肌で感じたいと思いましたし、『今、一番の選手です』と言われたら断る理由もないですよ」


──その前の試合は3年前、2013年大晦日の石井慧戦でした。この試合は防戦一方で「藤田和之は、もう動けないじゃないか」という印象もありました。しかし、プロハースカ戦は負けたとはいえ、テイクダウンからパウンドを落とすなど、石井戦とは動きがかなり違っていたように見えました。

「石井選手との試合は、本当に自分でも『どうしちゃったんだろう』と思うぐらいに体が動かなかったですね。もちろん、自分を攻略して勝った石井選手が素晴らしかったんですけど。でも自分の中では、正直ちょっと悔いが残っちまったかなあって。お客さんの前にあんな体調で出てしまって申し訳なかったなって。だから、それから少しずつコンディションを戻すようにして、生活習慣から意識するようにしました。タバコをやめたり、お酒を半分にしたりね(笑)」

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