【ボクシング】日本人王者がラスベガスに呼ばれるためには? (5ページ目)

  • 原 功●取材・文 text by Hara Isao  矢野森智明●写真 photo by Yanomori Tomoaki

 これらを「マイナスの事情」とするならば、一方では山中や内山らの海外進出を躊躇(ちゅうちょ)させる「プラスの事情」もある。彼らの場合、いずれも日本でゴールデンタイムにテレビ放映があり、イベントとしても採算がとれる。興行面から見れば、わざわざ大きなリスクを冒して海外進出をする必然性がないのだ。それ故に、ウーゴ・カサレス(メキシコ/元WBO世界ライトフライ級&WBA世界スーパーフライ級王者)のように、「日本のボクサーは井の中の蛙だ。私たちはリスクを冒して相手国に乗り込むのに、日本人の多くは国外で戦おうとしない」と、揶揄(やゆ)する選手もいたのである。

 海外進出のプラス面とマイナス面、将来性をどのスパンでどう判断するかは、選手本人や側近次第といえる。要は賭けなのである。アラム・プロモーターが言うように、山中も内山も三浦も、そして井上尚弥(大橋ジム/現WBO世界スーパーフライ級王者)も、ラスベガス進出を果たして実績も知名度もある強豪選手と数試合をこなせば、軽中量級のスターになる可能性は十分にあるだろう。幸いにも彼らには、力量の接近したライバルが世界中に何人もいる。ダイナミックでエキサイティングなボクシングは、世界の大勢のファンに受け入れられるはずだ。4年前、西岡利晃がこじ開けた扉を、さらに大きく開いてほしいものだ。

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