【ボクシング】村田諒太、世界王者への道はまだまだ遠い (3ページ目)

  • 原 功●文 text by Hara Isao photo by AFLO

 ただし、それにはある程度の時間が必要だ――。

 アジアと中南米に選手が集中する軽量級と異なり、ミドル級は世界的に選手層が厚く、人気も高い。当然、ビジネスとしての価値も高いものがある。アラム・プロモーターが村田に触手を伸ばした大きな理由は、実はそこにあるわけだ。ゴロフキンはプロ4年、19戦目で世界(当時は暫定王座)に到達したが、これはミドル級では異例の早い出世といえる。主要4団体の王者はもちろんだが、世界ランカーのなかに試合数20以下の選手は皆無といえる。世界戦略として村田は、「3年のスパンで考えている」というが、この間に様々なタイプを相手に、最低でも15戦は経験しておく必要があるだろう。

 今後、村田は年内にもう1試合こなし、2月には巨大カジノを持つシンガポールで戦うプランが浮上している。「単に経験を積ませるような試合はさせない。意味のある試合を組んでいく」と本田会長は明言している。話題よりも、総合的な実力アップこそが、成功への最短距離といえよう。

 待っているのは茨(いばら)の道だが、それは村田本人があえて望んだ進路である。プロとして最初の1ページを記した村田が、今後どんなストーリーを描いていくのか、じっくりと見ていきたい。

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