小籔千豊、息子とのゲームは教育の一環。ネットの世界でも礼儀を教える (3ページ目)

  • 都合亮太●取材・文 text by Togo Ryota
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 白熱するあまり口調が荒れてしまうことは、大人にだってある。大切なのは間違いに気づくことだ。小籔は息子に「食事や買い物に行った時、店員さんに偉そうにせんやろ。今後二度と会わん相手でも、ボロカス言うたらあかん。知らん人にも優しくするヤツのほうがええやろ。だからネットでは、普段よりももっとええヤツでおらなあかん」と注意した。小籔の言うことを理解し、それ以降息子の口調は穏やかになった。小籔はむしろ、そのような場面に遭遇できてホッとしているという。

「もし一緒にゲームをしていなければ息子のそういう一面を見られへんかったかもしらんし、自分がネットの世界を知らなかったらトンチンカンな叱り方をしていたかも。息子が触れている世界を知ってよかったと思いました」

 ゲームがコミュニケーションツールとなりコミュニティを形成する過程で、「eスポーツ」という言葉が誕生した。ゲームによる対戦を競技と捉えるからには、そこに参加する子供にもスポーツマンシップを求める時代となったのだ。しかし子供にも責任を負わせるような風潮に対して小籔は「順序が違う」と釘を刺す。

「だってね、ネットでマナーを守れていない大人もすごく多いじゃないですか。何万人もいますよ。いわゆる『大人』が集まる場所でも、他人を傷つける言葉があふれています。そんな世界を子供に見せている大人にこそ、責任があると思います」

 では、子供に悪影響を与えてしまいかねないゲーム、ひいてはネットから子供を遠ざけてしまえば解決する問題なのだろうか。真剣な目で、小籔はゆっくりと口を開く。

「僕らの世代にとってオンラインゲームやSNSなどのネットの世界は、人生の途中で現れた『新しいもの』ですが、子供たちにとっては『あって当たり前のもの』。ネットの世界はどんどん進化していくだろうから、むしろ子供の頃から積極的に触れさせて教育する必要があると思います」

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