【ラグビー】8大会連続出場。日本がW杯で勝つためのカギは? (2ページ目)

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu井田新輔●撮影 photo by Ida Shinsuke

 つまり、成長過程とはいえ、まだ判断、スキルの精度が不足しているのである。チームを引っ張ったリーチは「自分たちで納得できるプレーができなかった」と反省した。

「一番、ノックオン(ボールを前方に落としてしまう反則)したのはオレ。スペースが空いているのがわかって、先に前を見てしまってボールを落とす。集中していないのではなく、たまたまなんだけど......」

 それでも、アジアでは余裕を持って勝つことができた。国際ラグビーボード(IRB)の世界ランキングを見れば、アジア5カ国対抗7連覇となった日本(13位)に対し、香港(23位)以下、韓国(26位)、スリランカ(48位)、フィリピン(52位)だった。いわば勝って当然だったのだ。

 これからが本当の勝負である。エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は、アジア5カ国対抗の収穫は「セットピース(スクラム、ラインアウト)の強化とリーダーシップの成長」と説明した。し烈なチーム内競争の中で、20歳の藤田や24歳の立川ら、若手が経験を積んだ。フィジカルも着実にアップし、チームの底上げもできた。

 ジョーンズHCが選手に求めてきた「瞬時の判断」も、選手の意識はできてきた。試合後必ず、選手自身に課題を考えさせてきた。

 日本はこれで8大会連続のW杯出場権を獲得した。

「次のターゲットはW杯の準々決勝(ベスト8)進出」と、ジョーンズHCは試合後に言明した。そのためには、フィジカルや体力、スキルなどのベーシックな部分も、セットピースも、アタックシェープ(攻める形)も、ディフェンスのシステムももう一段、レベルアップしないといけない。

 W杯では、1次リーグでB組の日本は、南アフリカ(世界ランク2位)、スコットランド(同10位)、サモア(同8位)、米国(同18位)と対戦する。準々決勝進出を果たすためには3勝が必要で、米国戦の勝利はマストとして、スコットランド、サモアも倒さなければならない。もっと言えば、初戦の南アに番狂わせを演じるくらいの勢いが必要なのだ。

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