河村勇輝がGリーグでも躍動 ハッスルヘッドコーチが語る歩むべき今季の青写真「比較対象となる選手はカルデロンとボイキンス」
ハッスルのスワースキーHC(左)と河村勇樹 photo by Getty Images
河村勇輝がプレーするハッスルHCインタビュー 前編
田臥勇太、渡邊雄太、八村塁に続き、日本人史上4人目のNBAプレーヤーとなった河村勇輝(メンフィス・グリズリーズ)は現地11月15日、Gリーグ(マイナーリーグ)のメンフィス・ハッスルでもデビューを果たした。
河村は先発ポイントガードとして29分44秒をプレーし、7得点、10アシストをマーク。ここでプレーメイカーとしての力を誇示し、今後も主力としての役割が期待されそうだ。
Gリーグの所属選手ながら、一定期間NBAにも出場できるのが2Way(ツーウェイ)契約。グリズリーズのケガ人の多さゆえ、開幕当初はNBAでの出場が増えたが、今後はGリーグとNBAを頻繁に行き来することになることが予想され、Gリーグでも貴重な経験を積めるかどうかが、アメリカでのキャリアの中で重要なポイントになるのだろう。
そんな河村を、ハッスルの首脳陣はどう見ているのか。その評価と今後の課題などを知るべく、TC・スワースキー・ヘッドコーチ(HC)に意見を求めると、今季からハッスルのHCを務める指揮官の目にも、河村の電光石火のプレーは印象的なようだ。
*以下はスワースキーHCのひとり語り
【長所は視野の広さと最高級のクイックネス】
ユウキの長所を挙げるとすれば、まずはコート上の視野の広さだ。ほかの選手たちがどこにいるのかを常に認識し、オープンになったチームメイトにどうやってボールを渡すか、といったパスワークはなかなか教えられるものではない。パスセンスと視野の広さは突出しており、頭の後ろにも目があるのではないかと感じるくらいだ。
もうひとつはクイックネス。彼は私がこれまで見てきたなかでも最高級の素早さを持つガードだ。特にボールを持った時のユウキは本当に速く、ドリブルの際には一瞬で相手のディフェンダーを置き去りにする。ユウキのサイズではクイックネスをアドバンテージにする必要があるが、彼はそれが上手にできている。
常にアンセルフィッシュであり(自己中心的ではない)、コート上の聡明さは何よりも際立っている。それらの長所のおかげですばらしいパスを出すことが可能になっているのだろう。オープンになればユウキが見つけてくれることはわかっているから、チームメイトたちは彼と一緒にプレーするのが大好きなんだ。
一方、課題を挙げるとすれば、やはりジャンプシュートの確率は向上させなければいけない。ユウキはもともとドリブルからでも、キャッチ&シュートでもロングジャンパーが打てる選手である。今では日々、シュートの改善に一生懸命に励んでいる。自分自身に厳しく、上達を熱望していて、練習場に頻繁に通い、シュートをし続けている。そんなユウキの姿を見ていて、もっといいシューターにならないと考える理由はない。
ディフェンス面ではボールハンドラーに鋭くプレッシャーをかけることができているが、マッチアップした相手を、より上手にガードできるようになればベターだ。ユウキのクイックネスのすばらしさは指摘したとおりで、それをディフェンスにも生かせるようになることを私たちは望んでいる。左右両方からドリブルで抜こうとする相手の進路を上手に塞げるようになってほしい。
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著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう