40歳のアレン・アイバーソンが語った「NBA復帰」への思い (2ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by Getty Images

 檀上に上がり、トロフィーを受け取ったアイバーソンは、受賞スピーチで次のように話した。

「この賞は、これまで受賞してきた賞の中でも、最も特別な賞のひとつだ。それは、君たち(選手たち)から与えられたものだからだ。君たち(選手)がいたから、自分も毎晩、力を出すことができた。

 今も毎日、外に出るとみんなから、『AI、君は今、どうしているんだい?』(AI=アレン・アイバーソンの愛称)と聞かれる。そう聞かれると、99.9パーセントは同じように答える。『同じ勝負の、違うラウンドを戦っている』とね。

 実際にそうなんだ。この世界は、世界タイトル戦そのものだ。1日、1日がラウンドだ。ノックダウンされる日もある。いいラウンドがあれば、うまくいかないときもある。でも、ただひとつ大事なのは、また立ち上がることだ。そして、再び戦うことだ」

 アイバーソンも今年6月で40代に突入した。最後のNBA試合を戦ってから5年余り、正式に引退を発表してから2年近く経つが、まだ引退後の生活における生きがいは見つけられていないようだ。

 最近になって、「古巣76ersのフロントでアシスタントGMとして働きたい」「ワールーム(ドラフトなど補強の方向性を決める会議)に参加したい。自分の判断が採用されなくても意見を表明したい」「自分のバスケットボールの知識でチームに貢献したい」と熱く語っているが、76ersの現GMサム・ヒンキーは、アイバーソンをチームのフロントに迎え入れる意思はなさそうだ。アイバーソンのかつてのヘッドコーチだったラリー・ブラウン(現・南メソジスト大学HC)も、アイバーソンを援護射撃するかのように、「彼が何らかの形でチームに関わることができればと願っている。どんなレベルであっても、誰か、彼にNBAとの関わり方を教えてあげてほしい」と言っているが、そんな訴えも通じていない。

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