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【F1】「角田裕毅がダントツ」2018年の育成プログラムで「一番いいドライバー」と現場の皆が答えた (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【逆にF3はヘボチームでよかった】

── 日本で開催されているカテゴリーですね。

「F4のチームは日本でずっとレースをしているから、各サーキットに対して『ここはこのセットアップ』というのが決まっている。何もセッティングを触らなくてもクルマの状態がいいから、ちょっとしたアジャストだけでなんとかなってしまうんですね。

 逆にドライバーが意見を言う余地はほとんどない。これはホンダとしても反省しなければいけないことなんだけど、だからドライバーがマシンのメカニカルなことを学ぶ機会がほとんどないんです。

 それはF2やF3でも同じで、カーリンやARTのようなトップチームはその傾向が強いんですよね。彼らは勝つためにレースをしているし、実際にそれで勝ってきているから、そのやり方に合わせるようにドライバーにも求めるわけです。

 データも豊富で、エンジニアも優秀で、それは当たり前のことではあるけど、逆に角田はF3でイェンツァーに乗ったのがよかったのかもしれません」

── イギリス・ミルトンキーンズに住んでからの1年間の生活や成長は、どのようにご覧になっていましたか?

「プライベートに関しては、僕はモータースポーツ部長という立場もあるから、細々したやりとりはしていません。面倒見のいい、お姉さん兼お母さんみたいな存在の担当者がいて、彼女が自分の子どものように可愛がってケアもしていました。彼女が角田にとっていいと思うことはやればいい、という形で任せていました。

 イギリスに住まわせて最初の問題は衣・食・住。住むところやトレーニングする場所、日曜に移動する時の足になるクルマはホンダが手配をしたわけですけど、当時ハイテックGPの代表だったオリバー・オークスにもすごくお世話になったんです(2019年のハイテックにはレッドブル育成のユーリ・ビップスが所属。2017年には牧野任祐がユーロF3で所属していた)」

 食事はきちんと食べさせることまで含めて、担当者の彼女がすごくケアをしてくれました。ヨーロッパ初年度は角田本人も一生懸命、努力したと思いますけど、ホンダもしっかりとケアをしながら、二人三脚で環境づくりをしたというのが大きかったのではないかと思います。

 海外での育成はその前後、少し放ったらかしになっていた時期もあったりしました。だけど角田の時は、レースに集中してがんばれる環境を整えてあげられたと思います」

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